- 2018年12月21日
いわき市の通信制高校なら 翔洋学園 創作部 生徒作品紹介 その③
皆さん,こんにちは。
いわき学習センターの長久保です。
前回の
生徒作品の続き「小説」を掲載します。
今回で完結です
以下,生徒作品より
「時計」
翔洋学園高等学校 いわき学習センター
2年 反町 明莉
第三回
ニットのカーディガンを着た、自分より身長の低い、年齢も年下であろう彼が扉を開いた。
「ご利用、ありがとうございました」
私が深く礼をすると、彼は音もなくかき消えた。
つかの間の寄り道を終えて、正しいのはどれか。道へ戻ったのだろう。
扉を閉めて、定位置のカウンター内へ入る。先程まで時計があった場所は、ぽっかり穴が空いている。
彼の持っていった時計は、彼の人生そのものだ。生きている間は動き、時を刻み、思い出を記憶し続ける。
しかし、そうでなくなったら。
たくさんの針の音の一つが、そっと消えていった。
どこかでけたたましく救急車のサイレンが鳴っている。誰かのすすり泣きも聞こえる。
私は、ズボンのポケットに片手を滑り込ませ、きらりと輝く懐中時計を取り出した。
そして、もうカチリとも動かないそれを、指先でなぞった。
~Fin~
3週間に渡って
ご覧いただいた方々
ありがとうございました。
来年も機会があれば
紹介していきたいと思います。