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2018年12月04日

いわき市の通信制高校なら 翔洋学園  創作部 生徒作品紹介 その①

皆さん,こんにちはconfident

いわき学習センターの長久保です。

 

今回のブログより

3回に渡って

創作部で活動している生徒の作品の中で

普段から「小説」を書いている生徒がいますので

皆さんにご紹介したいと思います!

 

もちろん,本人にも了解を取ってありますのでぜひご覧ください。

 

 

 

 

以下,生徒作品より

 

「時計」

 

翔洋学園高等学校 いわき学習センター 2年

               反町 明莉

 

第一回

 

 

 どうしてここを歩いているんだろう。

 

 そう思った途端、靄がかかったようにはっきりしなかった意識が戻ってきた。足を止めて、辺りを見わたす。

 

 裸の街路樹。車が二台、やっと通れるくらいの石畳の道。ぴかぴか照らす太陽の光。

 ...ここはどこだろう。僕は、少し首をかしげる。

 記憶をたどるが、全く身に覚えのない景色だ。考え事をしていたから、道を間違えたんだろうか。

・・というか、僕はどこへ向かって

いるんだ?

 ひゅう、と肌を刺すように風が吹く。寒いな。着ているニットカーディガンの袖をのばして、手をさする。枯れ葉の集団が飛んでいった。

カラカラという音以外、何も聞こえてこない、あまりに静かすぎる街。

 お店のような、家のような、似たような外観の建物が連なっている。誰か住んでるんだろうか。

 

 左右にきょろきょろ視線を動かす。と、一つだけ雰囲気の違うレンガ造りの建物を見つけた。

 石畳の道に面した壁のちょうど真ん中にドア。左側はレンガ、右側はガラス張りになっている。ガラス越しに、何か見えないかな。

のぞきこんでみたけれど、陽の光が反射して眩しいだけだった。

 ダークブラウンの木で出来たドアに何か書かれているみたいだったけれど、かすれていて読めなかった。

だいぶ年季が入っているんだろう。書き直さないんだろうか。

 

 無意識のうちに右手を伸ばして、少しくすんだ金色の取っ手に触れる。

握って、そっと自分の方へ引く。吸い込まれるみたいに、ドアをくぐる。

 

 店に一歩足を踏み入れると、時計の針の動く音が、あちらこちらから覆いかぶさってきた。

 

 

かち。こち。かち。こち。ちっ。ちっ。ちっ。

 

 

「うわ・・・」

 

それもそのはず。部屋の中は、僕が入ってきたドアのある壁以外の三方すべて、時計で埋め尽くされていた。

 僕の片腕分の大きさのもの。文字盤の小さな腕時計。鳩時計やオフイスで使われていそうなシンプルなものまで。

数え切れないほどの時計が、壁を見せまいとするように並べられている。

 

 「いらっしゃいませ」

 時計たちに見入っていた僕は、ピクッと大げさなくらい肩を揺らしてしまった。

びっくりした。人がいるなんて気づかなかった。

 

 

 

今週はここまで。

次週,続きを記載しますので乞うご期待 pencil